アフリカヤマネのモルフ


アフリカヤマネ(学名:Graphiurus murinus)は、その愛らしい姿とユニークな特徴から、近年日本においてもエキゾチックペットとしての人気が高まっています 。手のひらに収まるほどの小さな体、大きな瞳、そしてフサフサとした尻尾が魅力ですが、一方で非常に臆病な性格でもあるため、じっくりと時間をかけて付き合う必要のある動物です 。  

重要な点として、ペットとして流通しているのはアフリカヤマネであり、日本固有種で国の天然記念物に指定されているニホンヤマネとは異なります 。ニホンヤマネの捕獲や飼育は法律で禁止されています。


アフリカヤマネの飼育の歴史は比較的古いものの、飼育者人口はまだそれほど多くはありません 。しかし、最近では野生型(ノーマル)とは異なる体色や模様を持つ「モルフ」と呼ばれる多様な品種が生み出されています。

わたしが2024年春にノーマルのアフリカヤマネを購入した際には5000円でした。この頃はまだアフリカヤマネの他のカラーはほとんど販売されていなかったと思います。

その後、少しづつ熱心なブリーダーによって美しいモルフが作出され出しました。

現在、日本国内で「ノーマル」、「セルフ」、「パイド」などと呼ばれるアフリカヤマネも多く販売されるようになりました

スタンダード:ノーマル(Normal / Agouti)

ノーマルは、アフリカヤマネの野生型、すなわち最も基本的な体色と模様を持つタイプを指します。一般的には、背中側が茶色がかった灰色(アグーチ色)、腹側と頬は白またはオフホワイト、目の周りにはっきりとした黒い縁取りがあり、尻尾は全体が灰色でフサフサしています。    

白のバリエーション:パイド(Pied)のスペクトラム

「パイド」は、体の一部に白い斑(まだら)模様が現れるモルフの総称です。アフリカヤマネのパイドは、特に尻尾や頭部、体への白斑の入り方によって、さらに細かく分類されることがあります。  

チップテール (Chip Tail) : 尻尾の先端のみがわずかに白いタイプです 。最も控えめなパイド表現の一つとされます。

 
スポットパイド (Spot Pied) : 頭頂部に白いスポット(斑点)が見られるタイプです。成長に伴ってこのスポットが薄れたり消えたりすることもあるようですが、遺伝的にはパイドの因子(ヘテロ)を持っていることを示す場合があります

 
パイドテール (Pied Tail) : 尻尾の先端から1cm以上の範囲が白くなっている個体です 。チップテールよりも白い部分が明確で広範囲になります。

 
ハイパイドテール (High Pied Tail) : 尻尾の半分以上が白い個体を指します 。パイドテールよりもさらに白い部分が多くなります。ブリーダーによって「ハーフテール」と呼ばれている場合もあります。

 
パイド (Pied – 体の斑点) : 尻尾だけでなく、首や背中など、体自体に白い斑が見られるタイプです 。白斑の量やパターンは個体によって様々です。ブリーダーによっては、体への白斑を持つ個体を「モザイク」と呼称し、白の面積に応じて価格帯が設定されています。


ハイパイド (High Pied / High White / Full White) : 体の大部分が白い毛で覆われている、非常に白抜けが進んだタイプです 。

 
ヘテロパイド (Het Pied) : 外見上はノーマルに見えるものの、パイドの遺伝子を潜性(ヘテロ)で持っている個体です 。パイドの形質はおそらく潜性遺伝(または不完全潜性)であるため、繁殖によってパイドの個体を作出する目的で価値が認められます。

ソリッドな色合い:セルフ(Self)モルフ

「セルフ」と呼ばれるモルフは、ノーマル個体に見られる頬、胸、腹部の白い部分がなく、全体的に色が濃く見える特徴を持ちます 。これはアグーチ(野生色)ベースのカラーであり、単に腹部などの白いマーキングが消失したものであるとされています 。海外では黒一色の個体がメラニスティック(黒化個体)として紹介された例もあるようですが、日本で「セルフ」として認識されているものは、それとは異なる遺伝的背景を持つ可能性があります 。    

さらに、「ブラックセルフ」という呼称も存在し 、これは非常に色が濃い、あるいは黒に近いセルフ個体を指すと考えられます。

しかし、フクモモでもそうですが、濃い黒を追求すると問題のある個体が生まれてくる確率が高くなります。モルフの多様化は異常な遺伝子の掛け合わせともいえるので難しい問題です。 

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