ミルワームを培養してみたい人用に、飼育日誌を書いておきます。虫が苦手な方は閲覧注意です。
ミルワームについて
ミルワームは、コウチュウ目ゴミムシダマシ科に属する昆虫「チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)」の幼虫を指す一般名称です。
見た目は黄色っぽい細長いイモムシのようで、小鳥や爬虫類、小動物の飼料として広く利用されています。
一生のサイクル
ミルワームは「卵 → 幼虫(ミルワーム)→ 蛹 → 成虫(ゴミムシダマシ)」という完全変態のサイクルを持ちます。幼虫の姿で流通しているため、「ミルワーム」と聞いて成虫を思い浮かべる人は少ないかもしれません
飼育や繁殖のしやすさ
・乾燥に強く、温度変化にもある程度耐性あり
・ふすまなどをエサにして飼える
・特別な機材がなくても繁殖できるため、家庭や学校の観察にも最適
栄養価
ミルワームはたんぱく質が豊富で、動物の主食やおやつとしても使われます。
ただし カルシウム:リン 比が偏っているため、使い方や組み合わせには注意が必要です。
飼育容器
キットはプラスチックケースです。網も入っているので、これを容器の上に置いて噛ませるようにしてフタを閉めてください。チャイロコメノゴミムシダマシはほとんど飛べませんので逃亡はしませんが、外からコバエなどの侵入を防ぐためです。
床材は餌もかねた特製ブレンドです。メインは小麦ブラン(ふすま)です。ふすまだけでも飼育可能です(そのほうが湿度やカビの心配をしなくてすみます)。
産卵基材として飼育面積の1/3~1/2くらいを覆える卵パックを伏せておきます。
キットを購入されなくても餌用のミルワームをそのまま25℃程度で飼育していれば自然に蛹化して羽化します。
その場合も累代飼育の部分を参考にしてやってみてください。
ちなみに、フェアリーネストではSERIAのシューズボックスに穴を開けて使っています。

飼育温度・湿度
成虫の飼育適温は25〜27℃。湿度は40〜60%。高温すぎると共喰い・短命化のリスクがあります。交尾・産卵活発になるのは25℃前後です。
幼虫は蛹・成虫にするには22℃~28℃くらいが適温ですが、餌用に確保する場合は、冷蔵庫の野菜室に入れます。キットで成虫を入れてあったタッパを保存しておいて、餌用幼虫の保存容器にするといいです。もぐれるくらいの深さ2cmほどのふすまを入れてください。10℃くらいだと活動が鈍り成長がゆっくりになり生きています。4〜5℃でもしばらくは生きますが長期だと弱ります。
累代飼育方法
キットが届いたらプラスチックケースに特製飼料を入れます。ここにタッパに入っている成虫を飼料ごと移します。飼料は容器内にばらまかないで、一か所に置いて平らにならし、その上に産卵基材(卵パック)を伏せておきます。
交尾後、2~3日後から産卵をします。卵は卵パックの裏側に産み付けられます。
産卵後、25℃の環境では約4〜6日で孵化します。室温が低いともう数日かかります。生まれたての幼虫は白い糸みたいです。
5mmくらいになったら少し湿らせた小さな筆で幼虫を幼虫容器に移動します。幼虫容器にも特製飼料 or ふすまを深さ2~3cmほど入れます。幼虫が大きくなったら餌用に少しとって冷蔵庫で保管します(成長を遅らせる)。
なんどか脱皮して終齢幼虫になった後は、蛹化します。蛹になったらふすまを薄くしいた別の飼育容器に移します。蛹が羽化して黒色になったら成虫用意に移動します。

餌は最初に入れたものでかなり持ちますが、時々汚れた部分をすてて新しいふすまを入れてください。
週に一度くらい、水洗いしてよく水分を拭き取った野菜の切れ端(ニンジンやブロッコリーの茎)をキッチンペーパーを敷いた上に置いてください。これは一日で撤収してください。

観察ポイント
卵
産卵基材の裏側についている1mmほどの楕円形の卵をシャーレの上に落とし、孵化までをモバイル顕微鏡で観察します。
幼虫
孵化したらごく少量のふすまを入れて、シャーレはフタをして飼育観察を続けます。この時点でクリームケースに移動しても、扱いやすいです。
脱皮
孵化から終齢までを同じ個体で観察するのは難しいかもしれませんが、脱皮を何度かして大きくなっていく様子を観察できるといいですね。
蛹化
終齢(大き目)の幼虫をクリームケースに入れて観察すると蛹化の様子を観察できます。25℃の環境では孵化から約30~45日(4〜6週間)で蛹化します。
羽化
25℃の環境では蛹化から羽化までは約7~10日です。蛹の初期はクリーム色で、時間とともにやや色が濃くなり、羽や脚の輪郭がくっきりしてくると羽化間近です。
コメツキムシとの違い
チャイロコメノゴミムシダマシはコメツキムシにそっくりですが、並べてみると少しだけ違うことがわかります(種類も別の昆虫です)。

交尾のあるある
交尾をしているペアには他のオスが群がることがあります。これは交尾OKのメスがフェロモンを出しているので、それを嗅ぎつけて他のオスがやってくるのです。

観察できたらすごいよね
産卵、孵化の瞬間、羽化の瞬間を観察できたらすごいですよね。
飼育キット
・プラケース
・ネット
・特製飼料
・産卵基材×2 (最初に使うのは1つだけです)
・タッパ入り成虫5匹